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コラム

VOL. 16 パリマの物語 パート2

Vol.16 パリマの物語 パート2
Inspirational Messeges from the Oneness

ワンネスからの贈りもの ~ インスピレーショナル・メッセージ~

しばらくすると、パリマの心が静かな感動を味わっているのが感じられ、師が言いました。「何を見つけたかね?」

 

パリマは言いました。
「師、私はこれまで、こんなふうに谷を見たことはありません。」

 

師は、続けるよう、促しました。


ある日の山の景色

 

<パリマの物語 パートⅡ>

「森や、木を、上から見たことがなかったのです。こう見てみると、木は、互いに重ならないように、枝を伸ばしているのが見えます。あぁ、どの枝にもできるだけまんべんなく光がいきわたるように。他の枝の上にかぶさろうとか、他の枝の下に隠れようとする枝などないのですね。きれいに、みなが自分にできる限りを尽くして、枝葉を伸ばし、光を求めているように見えます。それから、川も見えます。上流からやってきて、村の集落に水を分け、私たちの寺院のそばにある滝にも、井戸にもつながっています。井戸や小さな小川につながっているのですね。」

 

師は言いました。「あの山の奥には、遠い遠い悠久の時を経て形成された、大きな大きな氷河があるのじゃ。氷が少しずつ溶けだした雪解け水が、徐々に流れとなり沢となり、川となり、岩を洗い、水のものを養い、地のものを育む。雨が降ると、雨は地中に染み込み、一部は木々や植物に使われ、一部は人に使われる。一部は地下の水脈につながっているといわれておる」

 

パリマは、”悠久の時間を経て形作られた氷河”とその凍るような冷たい一滴一滴が川となって流れだす様子を想像し、いつか氷河に行ってみたい、と思いました。氷河に行って、水を飲んでみたい。いったいどんな味がするのだろうと思いました。パリマはいつも、山の奥にある氷河、最果ての地、雪や氷に閉ざされた世界に、憧れや郷愁のような気持ちを感じていたことを思い出しました。

 

「私たちはあの水がなければ、生きていけないのですね。木々、花々、動物たち、私たちもみな、同じ瓶<かめ>から水を飲んでいるのですね。何世代も、何世代も。

 

…そうすると、皆家族みたいなものでしょうか」師は、うなづいて、やさしく笑いました。 「家族か。大きな、大きな、家族じゃな」

 

パリマの目から一粒、涙が流れ落ちました。師が言いました。「何を見つけたかね?」

パリマは、言いました。「生まれてからずっと、私が見たいと思ってきた世界です。必ずどこかにあると思っておりました。なぜなら私の中にはその世界がいきいきと現れているのを見ていたからです。しかし、見つけることができなかった。いま、それが目の前に」「それは、あったかね?」「ずっと、あったのです。でも私は、何も見ていなかった。己の心の曇りが強すぎて、見えていない、あるいは私たちが見ようしていないだけなのです。」「人は見たいように見るもの。人はなぜ、隠れるのかね?」「それは・・・。真実を見ること、あるいは見られることを怖れているからでしょうか」

 

「なぜ真実を怖れるのかね?」「真実を見てしまうとこれまでの己のありようを否定される気がするからでしょうか。あるいは、変化を強いられるような気がするからでしょうか」「あの川は、あの山は、これまでのありようや、心の曇りが強くて見えていなかったことを咎めておるかね?」

 

「・・・」「咎めているのは誰かね?」「・・・」「我々は日々、自分や誰かや何かについて考えをめぐらしているものじゃ。しかし自分のことばかりあれこれ考えてばかりいて、目の前の景色を味わったり、ただ眺めることすらしていない・・・」「・・・」「頭と心をからっぽにして、あらゆるものを、ただ、眺めてみるのじゃ。ものことの真実はおのずと現れ、真に欲しているものも豊かに流れ込んでくるぞよ。それはいつでもそこにあり、必要なものことも与えられ、我々は既に満ち足りている・・。・・その恩恵にあずかることを拒まれている者などいない。」

 

師はパリマの瞳の奥深くにむかって言いました。「それが、真相じゃ。拒む者はあっても、拒まれている者はいない。なんと慈悲深い世界よ・・・ そう思わんかね?」師の言うように世界を眺めていると、パリマはこのうえなくやさしい感覚に包まれました。頬に涙が流れ、ぽつぽつと岩のうえに落ちて行きました。パリマは先輩たちから聞いた、師の言葉を思い出しました。上ってみないと分からんものもあるよ。それに、ここから何が見えるのか、わしが言うより、自分の目でしかと見たほうが百倍よいぞ。こんなにすばらしい景色を、お前にも見てほしいがのう。

 

パリマはふと思いました。『いつになったら、師の見ているように世界を見られるようになるだろうか?・・・どのようにすれば・・・?』 そして、思いなおしました。 『あれこれ考えをめぐらせるより、その景色を見て、与えられている恩恵を味わおう。そうすれば、いつか分かるかもしれない・・・』師は微笑み、わずかにうなづいて言いました。「そうじゃ、その問いさえ忘れ・・・我をも忘れたころに」パリマが驚いて師のほうを見ると、師は既に腰をあげ、岩を降り始めていました。

 

夕映えに染まってあたりはピンク色に変わり、山々も静かに休む準備をしているようでした。 今日も川は流れ、日は昇り、また沈む。明日また、日が昇るだろう。

 

今日という素晴らしい日を与えてくださったことに、心から感謝します。

 

静かに掌を合わせ感謝の祈りをささげたあと、パリマは師を追うようにして急いで岩を降りていきました。

 

<Uploaded 2010.7.1 『チャネリング・エピソード パリマの物語(2009.4.29)』 REMI>

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